人生をハードボイルドに生きるブログ

上向きのあやまり

「いい子でいなさい」と親はいう。
「言うことの聞けない子はわるい子ですよ」と。
 誰でも、いわれたことがあるだろう。
「いい子だね」といわれると嬉しくなってしまうのは、これは自然なことだ。

 企業のなかでも、部下が「いい子」なら、上司はやりやすい。
 しかし、「いい子」でいようという考え方は、じつは損な考え方で、しかも、しばしば会社を間違った方向に進ませてしまう力になると私は思う。

 上司の機嫌を損ねないように振る舞ってきた「いい子」は、意外に出世しない。
 部下が「いい子」ばかりの上司は高い成果をあげられない。だから出世もしない。
 逆に、「あいつは頑固で言うことを聞かない」といわれる「わるい子」が評価される。そして、「わるい子」が会社を救っている。

 この傾向は、近年強まっていると私は感じる。

白いベクトル
 

 多くの人には上司がいる。
 上司がCEOか「オーナー」でない限り、上司にも、そのまた上司がいる。
 上司が、そのまた上司から命じられたことをうけて、「新しい方針が決まったからこれをやれ」と、部下に「縛り」をかけることは、よくあることだ。
 方針は、上から下まで徹底しなくてはいけないものだ。
 ところが、せっかくの新方針が現場の実情に合わないことは、一流と言われる企業でも、しばしばある。
 お客様の変化、現場で働く社員たちの変化が早いと、一線から離れてしばらく時間が経っている幹部たちは、もともと優秀な人たちでも、微妙なところで情報感度が鈍ることがある。幹部の周囲を「いい子」たちが固めていれば、なおさらだ。だから、簡単に判断を間違うこともある。

 方針は現場やお客様の実態とズレていると感じた時、最前線で仕事をする人間はどう行動するべきか。
 これが問題なのだ。

 お客様に支持され、競合に打ち勝つためには上司から言われたことをそのまま聞いていられない、と自信を持って判断し、成果があがる行動をつづけて、本当に結果を出せる「わるい子」がいるか、いないか。
 これが、企業が正しい方向に素早く軌道修正できるかどうかの鍵になる。

 結果が出るまでは、「わるい子」は、いろいろ言われるだろう。
 短期的には、人間関係も悪くなりかねない。
 しかし、そうであったとしても、半年、1年と経っていくうちに、「あいつは一貫している。骨がある。見どころがある。粘り強い。負けない。結果を出せるヤツだ。信頼できる。後輩から人気がある。結局あいつは正しいんじゃないか。まかせてもいい」などという評価ができてくる。
 いつのまにか、「逆境に負けずに頑張った」行動も正当化されて周囲の評価は高まり、人間関係もふくめて、仕事が格段にやりやすくなっていくことが多いように思う。

 結局、それまで(上司も含めて)先輩たちができなかったことをやって会社に貢献するのは、そういう「わるい子」だ。

 部下に「いい子」であることを強く求めて、自分自身が上のご機嫌を気にして行動する上司は、意外に出世せず、「いい子」でいた部下は、あるとき急に、上司と一緒に沈没することもある。
 逆に、「わるい子」をうまくつかって結果を出させている上司は、「わるい子」と一緒に評価が上がっていく。

 じっさいには、大企業でも、会長と社長が、昔、同じ職場で課長と部下の関係だったということは、けっこうある。こういうケースでは、かつて二人が「わるい子」としてすごい実績をあげた同士だったということが少なくない。

 もちろん、「わるい子」といっても、すべてが「わるい」わけではない。
 上司と部下が気が合っているのは幸せなことだし、たがいに尊敬し信頼しあう関係で仕事ができれば、それはやっぱり最高、にきまっている。

2008/03/31 | 渋い生きかた | Trackback 0 | Comment 0

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